第2回 ニッチ・ポップ試聴会 後編

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ビートルズ不在の70年代の「隙間」を支えたもうひとつのポップ・シーン「ニッチ・ポップ」、その「隙間(ニッチ)」をこの日本、東京で見つめるバンドが2016年に鳴らすのは一体どんな「隙間(ニッチ)」音楽!?

というテーマで、お送りしている“WaikikiRecord presents 「ニッチポップサンデー」”

第2回目の今回はELEKIBASSと、空中カメラ、につづき、The Pen Friend Clubからリーダーの平川 雄一さんと、シンガーソングライターであり、音楽プロデューサーでもあり文筆業もこなす渚十吾さんを迎えて総勢7名で「ニッチ・ポップ」をテーマに音楽視聴会を開催してみました。その後編です。

テーマその2「PILOT – ELEKIBASS×空中カメラ」

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左から:田中野歩人(key/空中カメラ)中村竜(Vo/空中カメラ)亀田JP(G/ELEKIBASS)サカモトヨウイチ(Vo/ELEKIBASS)

時々:平川雄一(The Pen Friend Club)さらに時々:寒川(空中カメラ)

サカモト:前回ニッチポップの紹介の回があったので、今回もまた『ニッチポップってどんなのかね?』って(対談を)出すのも芸が無いので、今回は「パイロット(Pilot)」の11月の来日とかけまして…。”「パイロット」っぽい音楽” を一応(テーマに)。ニッチポップ代表をパイロットと仮定して、お送りしようかなと思いまして。

でも、パイロットっぽい物と言ってもどんな物だろう?って言うのがあると思うんですけど…。やはり「ビートリッシュ(ビートルズのニュアンスを持つ音楽の意味。)」がキーワードなのかな、と言う所で(持ってきました)。

 

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…まあ「日本のビートルズ」、チューリップ(TULIP)。勿論有名ですけど、有名じゃない曲もたくさん…あるじゃない?意外に知られていない曲、と言うか…。

平川:あ、それ持ってます僕。良いですよねえ。

サカモト:”TAKE OFF”。これの…4曲目を。

平川:うちの親が持ってたんですよ。

サカモト:あ、そう言う感じの。まさにね、ここら辺がね”家にあるシリーズ”なんだよ。中古売ってても意外に安いし、¥500とかで売ってるんだけど。買って聞くと、意外に『うわ、ビートルズ!』みたいな感じがあって。

(曲をかける)

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サカモト:こう言うね、何て言うのかな…知られていない「良い曲」がやっぱり好き。

田中:ああ。これ、シングルになってないやつですよね?

サカモト:なってないと思う。そこの歴史をちゃんと知らなくて申し訳ないけど…。”愛は不思議なもの”。…でも、そのまんまパイロットと言えばパイロットかなあと。

田中”セプテンバー”とかも結構ビートリッシュですよね。どっちかって言うとポール(マッカートニー)のテイストの。

サカモト:そうですね。ポールの「レッド・ローズ(レッド・ローズ・スピードウェイ(Red Rose Speedway)/1973年)」寄りと言うか、そう言う事ですよね。

そう言うわけで一つ目の紹介は、チューリップでした。…ま、シンプルに前回の流れで行きますけど…ニッチ認定ということで皆さん異論は無いね(笑)?

(一同笑)

サカモト:パイロットがテーマのニッチポップ、認定という事でよろしくお願いしますー(笑)。

ちょっと早くて申し訳ないんだけど、次、亀田くんお願いします。

 

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亀田:これ、ちょっと難しいんですけど。スケール感が…。

サカモト:これ俺も持ってきて、かぶったからね(笑)。

亀田:まあこれは一聴すれば、ビートルズ。

サカモト:”strawberry feels”ですよ…。

田中:これいつ頃の(作品)ですか?

サカモト:えっと…3枚目のアルバムかな?

亀田:これ何か、大学の時に買いに行ったんですよね。このジ・アップルズ・イン・ステレオ(The Apples In Stereo)と言うバンド、の…いつだったかな…。

サカモト:結構2000年位だった気がするけど。

亀田:これ曲名”strawberry fire”って曲だけど、まあ”strawberry feels”のパクリか分からないけど。何か…意外とね、特に説明は無いなあ(笑)。だよね、って感じで。

サカモト:でもまあこれもそんな細かい説明は要らなくて、所謂「サイケデリック期」があるビートルズやローリングストーンズがそうであるように、ジ・アップルズ・イン・ステレオもその面白さを持つバンドですよね。

亀田:まあ何か、「ビートリッシュ」…ELOとかパイロットもそうだし、後はXTCとか…まあ色々いるけど、多分ここら辺の人ってやっぱりそこまでメジャーな感じがしないんだよね(*世界的なセールスはもちろんドメジャー級だけど)。アメリカのインディーバンドがみんなビートルズの影響を受けているわけでもないし、というよりインディになればなるほど「ビートリッシュ」ではなくなる印象はあるけど、でもこの人たちはまさに「ビートルズフォロワー」を体現してると思う。

サカモト:ロバート・シュナイダー(Robert Schneider)って言うボーカルはすごい本当にブライアン・ウィルソンが好きで、そして、ビートルズ大好きな人だからちゃんとした正統派な系譜を通っていて、その上でアメリカでサイケデリックシーンを作ってたから…1つのすごい立役者な気がするけど…あんまり知られてない気がするよね、少なくとも今の日本では。

亀田:なかなかこんな人いないと思うんだよね。この人は古い機材や楽器をすごい持ってるのね。

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サカモト:余談ですけど先週ずっとアセンズのフェスで一緒でしたからね(笑)。

亀田:このアルバム後半も良いんだよね。ちゃんとコンセプトアルバムだから。

田中:あれ、アナログだけなんですか?

サカモト:いやいやCDも出てる。CDはジャケットの色が違う。ピンクじゃなくて、緑。

亀田:これ当時菅原って言うELEKIBASSのドラマーが居たんだけどね、サカモトと3人で買いに行ったって言うね(笑)。

サカモト:全員同じ物買ってたね(笑)。覚えてるもん未だに。(輸入盤だから正確には違うんだろうけど)発売日に『ジ・アップルズ・イン・ステレオのNEWアルバムが出るんだね、どんなのだろうね』って言ってワクワクしながら買いに行って、ワクワクしながら聞いて、すごい良かった!って言う、思い出の1枚。最近なかなかないじゃん?新譜が待ち遠しいって。

田中:その当時は、どこで新譜を買うんですか?

サカモト:これは「ラフトレード」。新宿西口のレコード屋さん。…当時行く店は決まってて、西新宿のレコード屋さんか渋谷のレコード屋さん。新譜を扱う輸入盤のお店って大体固定されてるから。必ずその店をぐるっと周って、新譜をちょっとチェックして。お金とかもそんなに無いから『どうだった?亀ちゃん行った?何かあった?』って言って情報を共有して、『あれ買ったんだけど全然良くなかったー。』『マジでー。』って言う学生時代でした。懐かしいね。

脱線しましたw…じゃあ、テンポ良く行こうか(笑)。

中村:ひえー(笑)。

 

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サカモト:これまた、来日しましたね。

中村:そう、ベタベタの名盤。

サカモト:聴こう、聴こうぜー。そう言うのをもう1度ちゃんと聴くのが(良い)。

田中:何曲目ですか?

サカモト:これだったら”Friends Of Mine”じゃない?

(曲を流す)

中村:ゾンビーズ(The Zombies)。えー…これ、最後のアルバム?ですね。なんかもう、2・3枚で解散しちゃったんですよ。

サカモト:そうだね。それなのに、これだけ影響力があるってすごいね。

中村:で、これ収録してる最中にもう仲が悪くなっちゃって、完成して発表する前に解散して。

サカモト:こう言うのは、君たちにとってはどう言う位置になるの?

田中:名盤集に書いてある…いつでも載ってるやつ?

サカモト:まず買わなきゃ、みたいなやつ?

中村:そう。だから、ビートルズ中期とか好きな人は絶対聞け!みたいな(笑)。

サカモト:で聞いて、評判通りだったなって思う?

中村:うん、聞きやすいですよね。3曲目?とか(好きです)。3曲目だったかな?…あー。

田中:違った?

中村:違いました(笑)。2曲目は何だっけ?

サカモト:”A Rose For Emily”じゃない?多分。良い曲だよね。

中村:あのー、鍵盤だけのやつ。…あ、これだこれだ。そう、コード進行がすごい。

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サカモト:ボーカルのコリン・ブランストーン、いいねえ。来日があったね、ソロもバンドも、数年前に。

中村:あ、そうなんですか?

サカモト:来日したんだよ。どこだったかな?

亀田:行った!

サカモト:あ、行った(笑)?

亀田:(平川を見つつ)前座、やってましたもん。

サカモト:あ!そうだ!平川さん、前座やってたんですよね?オープニングアクト。

平川:あー、そうそう!(軽いノリで)

(一同笑)

中村:すごい人がいた(笑)。

亀田:コリン・ブランストーンと話したんですか?

平川:良い人でしたよー(笑)!

中村:もう今何歳くらいなんですか?

平川:70…前後じゃない?

サカモト:へえー、すごい。下北沢GARDENでしたっけ?

平川:えーとね、渋谷でした。もうね、コリン・ブランストーン声量がものすごかったですよ。圧倒的だった。

サカモト:こんな優しい声なのに。

平川:ソロアルバムも名盤ですよね。

サカモト:あの、ジャケがこうゆうやつでしたっけ?顔のアップのやつ。

平川:俯いてるやつ。

サカモト:そうそう。国内ではザ・カーナビーツが「I love you」を「好きさ・好きさ」に変えてカバーしてヒットしているのを考えると、ニッチではないのかもしれないですけど…でもイメージはニッチだよね。

中村:そうですね。

サカモト:何か…ニッチの理由はちゃんとないんだけど(笑)。あと名前もゾンビーズだから…ニッチだよなあ。

(一同笑)

サカモト:最初、だって本当にメタルバンドだと思ってたんだから。

中村:ゾンビのわりには、甘い(笑)。

田中:全然違う文化圏で生きてきた人とメタル好きな人はさ、全然ゾンビで付けるよね(笑)。

サカモト:「ホワイト・ゾンビ(White Zombie)」とかいるからね(笑)。でも、そもそもがそうなんだよね。スタートが多分もう、ニッチなんですよ。

中村:なんでゾンビーズにしたんだろうね?

サカモト:もう全部聞いた後はぴったりくるけど、やっぱね入り口を狭めてると思う。だから気をつけようね「空中カメラ」とか…何か狭めてるんじゃない?

田中:いや何か、無害な感じが(イマイチ)…ゾンビの方が全然良いなって(笑)。もっと害がある感じになっても良いかも。

サカモト:「空中ゾンビ」とか「ゾンビカメラ」とかさ(笑)。

田中:「空中ゾンビ」は何かやだなあ(笑)。

サカモト:まあ、これはニッチですね(笑)。

平川:雑な紹介でしたね(笑)。

(一同笑)

サカモト:じゃあ次、田中くんで行こうかな。

 

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田中:何か、ちょっと似てるようなのになっちゃったな。もっと変なの選んでくれば良かった。

亀田:あ、俺もそれ持ってる。

田中:これCDしか無いんでしたっけ?あ、けどレコードもリイシューされたんですかね?

亀田:うん。俺はそっち持ってるんだよね。

田中:えっと…ビリー・ニコルス(Billy Nichols)の「Would You Believe(1968年)」。の、1曲目。

(曲が流れる)

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田中:何かこれは、一応作ったけど「お試し盤」。テストプレスしか出回らなくてすごくプレミアが付いてて、リイシューされたのは…これいつでしたっけ?

中村:結構前だよね、確か。

田中:90…?2000年くらい?にリイシューされて、何か、評判が良かったんです。

サカモト:これは、何きっかけで(出会ったの)?

田中:これはdiskunionのソフトロックコーナーをずっと見てた時期に、たまにある説明の紙(ディスクに貼り付けてあるスタッフPOP)が目について、そこに引っかかる言葉が書いてあってまんまと買っちゃう、みたいな。まあ良くあるパターンですけど。確か「Pet Sounds(1966年)」がどうとか、多分そういう事が書いてあったんでしょうね。それで買って、ああ良かったなみたいな。

亀田:俺も多分それで買ったと思う。

田中:何でしたっけ、”「Pet Sounds」に対する英国からの回答”みたいな…。日本人が好きそうなのがコピーで書いてあって。…ビーチボーイズって言うよりビートルズっぽいのかなって。「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band/1967年)」ぽいなって言うので聞いてましたね。

サカモト:ちなみにこれは、それ以降の盤は出てないの?他のアルバムは出てないんだね?

田中:出て…無いですね(多分)。この人何かスモール・フェイセズ(Small Faces)の裏方?をやってて、この後は「ザ・フー(The WHO)」か何かのサポートでしたっけ?そう言う裏方でずっとやってるみたいで。

サカモト:でも、いろんな歴史や事情はあるけど、簡単に言うと、テストプレスしか出てないのが拡まったって言う意味では、良いねえ。ニッチだねえ。

 

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サカモト:次ねえ、難しいねえ。…ちなみにジ・アップルズ・イン・ステレオもっと紹介したい。(持参したのは)全部じゃないんですけど、アルバムの1~3枚目なんですけど。…じゃあ、次はこれですね。タートルズ(The Turtles)の”Happy Together”で。ま、ただの超名盤ですけどね。

田中:いや、けどこれ本当に事前に紹介するアーティストを話し合ってないからかぶる(笑)。俺もベスト盤持ってこようとした。

サカモト:もうただ、どメジャーですけど。で,す,け,ど、でもタートルズってこんなに良かったんだよね。

(曲が流れる)

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サカモト:あのー、タートルズがさ、シンプルに良い曲すごい多いんだよね。ただ、アップテンポなグッドメロディの良い曲が多い中この”Happy Together”ってすごい冷静に聞くと、超変な曲じゃない?そこがいい。

田中:”Good Vibrations”もやってましたよね?

サカモト:ああ、そうだね。…良くこれで売れたなあと思って。いい意味で。

田中:何でこれが代表曲なんだろう(笑)。

サカモト:ちょうど何かの映画のエンディングか何かに使われてて。そう言うリバイバルもあって年代的にはちょうど僕18歳の時がそうだったんで、何となくそう言う部分もあり…。やっぱ入口としてはビートルズとか好きな人がちょっと聞きやすい良さもあったんで。で、どんどん調べて聞いてったら本当に(好きになった)。「パイレーツ・ロック(原題「The Boat That Rocked」 2009年製作のイギリス・ドイツ映画)」にもタートルズの「エレノア」入ってるやつがめちゃくちゃ良くてさあ。ま、好きって意味でのタートルズですけど、それは置いておいても、やっぱりほっといたら、曲知られずに終わったりするんだよね。チューリップと一緒で。シングル曲は違うとしても、それ以外の曲にもあんなに良い曲がいっぱいあるのに意外に知られてないなって言うので…まあパイロットと一緒かな?パイロットも多分「Magic(1974年)」とかはどこかで聞いた事があったりすると思うんだよね。でも意外に他の曲めちゃくちゃ良いし、何かそう言う所があって。しかも今回の来日場所どこだっけな?(2016.11.21:渋谷duo/2016.11.22:高田馬場AREA)確かそんなに大きい所じゃなくて。…まタートルズでした。今回サプライズ弱めですけど、無難に置きに行った感じです。

 

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サカモト:キャスパー(Caspaer & The Cookies)。これ、前回も紹介してなかったっけ?

亀田:した(笑)。

サカモト:だよね(笑)。「Caspaer & The Cookies」って言うんだけど、すごいサイケデリックだったんだけど今ちょっとどんどんパンクに寄ってきてて。大きなジャンルで言うとパワーポップだけど。

(曲が流れる)

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サカモト:これは比較的取っつきやすい良い曲だね。

亀田:これはあれかな、現時点では「Caspaer & The Cookies」の最高傑作(笑)。俺の中の現時点ではね?これも普通にパッと聞くとビートルズっぽいとか、メロディーがビートルズとか演奏がビートルズとかじゃないんだけど、何だろう…まあちょっと無理矢理持ってきたって言うのもあるんだけど。ビートルズのちょっと変な所?ユーモアがある所が(感じられて)ビートリッシュだろう、って事で。ま、本人もビートルズ好きだしね。で、この曲の1番最後に面白いのが入ってて、ちょっと待たないといけない。

サカモト:聴いてみよう。…余談ですが、このバンドのボーカルが一時だけオブモントリオール(of Montreal)のメンバーになったんだけど、ワンツアー周ってボーカルと喧嘩して辞めて、もう仲悪くなっちゃった(笑)。

亀田:今居ないけどジム・ヒックス(James Edward Hicks)って言うギタリストがいて、(紹介している曲の)『このギターフレーズが俺はすごい好きなんだ、このギターフレーズを弾ける事にすごい誇りを感じてる』って(言っていたという話がある)。このフレーズ自体はボーカルのジェイソン(Jason NeSmith)が考え出してるんだけど、ジムはそれに誇りを持ってるって言う。その話をアメリカでしてる時の話で、当時ジムとボーカルのジェイソンの2人でこのフレーズについて色々あったらしく思い出のある曲なの。

(ここで曲が終わる)

亀田:あ、ここで曲が終わって。少し無音になるんだけど…。

(数十秒後、ギターで1コードだけ音が流れる)

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サカモト:ねえ(笑)。ええ?(と言う感じ)

亀田:何でこんな事したんだろう(笑)?

寒川:あの時間待たせて、これ(笑)。

サカモト:そうね。これ関西だと怒られるパターンだよ本当に(笑)。

寒川:『アホか!』言われる(笑)。

サカモト:『オチ何なん?』って言われるやつ。ということでまさに…はい、ニッチでしたね(笑)。

 

 

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中村:”サンクト・ペテルブルグ”。KAN。

田中:「愛は勝つ」のKANですね。

サカモト:あ、そうなの?俺ドイツかと思ってた。

田中:ドイツのCANは”C”なんですよ。日本のKANは”K”なんですよ。

サカモト:そうか。…「ダジャレの恋しきひとり旅(”サンクト・ペテルブルグ~ダジャレ男の悲しきひとり旅~”)」。

田中:これがすごいポールっぽいね。

中村:うん。KANがね、ポールっぽいよね。

(曲が流れる)

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中村:キャッチーで良いですよね。コーラスワークとかね。
 
亀田:よくKANはこーうゆうの作れるよね。
 
田中:ああ、器用なんですよね。
 
中村:だから、モノマネ曲がいっぱいあるよね。ビリージョエル(Billy Joel)もあるし。
 
田中:浜省(浜田省吾)もあるし、岡村ちゃん(岡村靖幸)もあるし(笑)。
中村:槇原敬之もあるし(笑)。中学の時にビートルズのコピーバンドをやってたんだって、KAN。

サカモト:でも日本ってさ、本当に「ピアノポップ」って言うのがちゃんとあるよね。KANにしろ槇原敬之にしろそうだし…。何か意外にレベル高い気がするんだけど、外国人が聞いたらどうなんだろうね?あんまり考えた事なかったな。

田中:ビートルズの真似をしてる人たちが日本にいるんだなあ、て感じですかねえ(笑)。

サカモト:でも、実際そう思われてるのかなあ?

中村:真似に聞こえないのかもしれない。

サカモト:それこそジェリーフィッシュ(Jellyfish)がさ、誰か日本人をプロデュースしてたよね?

田中:PUFFYは、、、、確か、やってましたよね?、PUFFYの名付け親がジェリーフィッシュなんですよ。確か、、

平川:ほえー!

 

サカモト:例えばだけど、、KANをポールが聞いた時に、興味が湧かないんじゃないかな。どうなんだろうね?

寒川:めちゃくちゃキレたらヤダよね!

田中:いや、そうだったら多分、全世界にキレなきゃいけなくなるよ!絶対ポールのスタイル含め、ビートリッシュなバンドは世界中に・・。

(次の曲を流す)

田中:ここマイケルジャクソン(Michael Jackson)の物真似ですね〜。あ、これもビートルズだ。

中村:これはミスチル(Mr.Children)の人がコーラスで入ってます。

田中:この辺は何かビートルズじゃなくてサーフィンっぽい。

中村:Bメロのドラムとかが、もう(ビートルズ)。…あれだコステロ(Elvis Costello)ぽいね。

サカモト:そうだね、そっちだね。

中村:あのイントロのキーボードからして。

田中:桜井さん(桜井和寿)がボーカルやってるから、よりコステロ感が。

中村:でもKANが、ここら辺が好きなのが伝わってきてすごい良いけどね。

田中:こういうパロディ感覚って苦手な人は苦手なんだろうなって思う(笑)。自分はすごい好きだけど。

サカモト:でもこうやって後ろ・ルーツが見える物は、やっぱり誰かが後々評価してくれないと、寂しい(笑)。埋もれてしまうんだったらねえ…。

中村:だからもう本人はすごい楽しんで作ってるなって(思う)。

寒川:あえて質問しますけど、このKANのこういうルーツを感じさせる感じの曲ってどう言う人が聞くの?
 
サカモト:そう言われれば、確かに…。
中村:だからこう言う人(自分たち)じゃないですかね(笑)?
 

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サカモト:でも、それを10曲作った時にすごい意外な需要がバーンと出て、言ってしまえば たま の”さよなら人類”みたいな物で…なんか意図とか超えてしまうって事なんじゃないかな?
 
田中:そもそも、元々音楽が強いんで。ポップスとして成立してるから、マニアの音楽じゃなくてもJ-POPとして成立させた上にこう言うマニアな芸当を挟んでくるから、なおさら好きだな〜。
 
中村:基本は「ルーツなんて知らなくても楽しめる」し、「知ったら尚楽しいんだぞ」って他人を引きずり込ませられるのがその人自身の技であり魅力なんでしょうね。

 

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田中:えっと、これはニルヴァーナ(NIRVANA)。アメリカじゃない方の。イギリスの方なんですけど。

サカモト:ねえ、ソフトロックの名盤に入る。…ここも完全に、知ったきっかけはunionのソフトロックコーナー発信なの?

田中:あ、どうだっけなあ?…(アメリカの)ニルヴァーナ(Nirvana)の事を調べてて、イギリスにもニルヴァーナがいるらしい、って事だった気もするし…。でも、それは定かではないんだよなって言う。

サカモト:どっちかって言うとさ、本当にミレニウム(THE MILLENNIUM)とかからのニルヴァーナだよね?普通に行くとね。

(曲が流れる)

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サカモト:一応これにかける君の思いを。記事になる分ね、喋ってもらって良いですか。

田中:まずは、名前が可哀想!それに尽きる笑。先輩なのに彼らが「Nirvana (UK)」ですからね。カートコバーンの方がNirvana (US)」でもいいのに!でも、実際ソフトロックっていう括りの中でもかなり好きな音像です。分厚いサウンドで甘ったるくて。Harpers Bizarreもですが、「冬に聴きたい音楽No.1」!いや、「夏にはちょっと聴きたくない音楽No.1」かも・・。掛け布団ミュージックです。温い。

サカモト:ソフトロックって面白くて、こう言うハーモニー・メロディックなやつもあれば、ちょっとソウル寄りのやつもあるじゃん?R&B寄りって言うか。で、面白いのは全員手間がかかってるんだよね。何か『3ピースでガーンと鳴らしました!』って言うよりは、ちゃんとコーラスとハーモニーがしっかりしててストリングス・管楽器も入ったり。結構面倒臭いレコーディングを丁寧にやってて、今こういうのをやろうと思うと相当大変だよね?

田中:だからソフトロックのバンドは短命なんじゃないですか?面倒くさいから。

サカモト:ああ、そこに手間ひま、お金かけすぎちゃって。

田中:ミレニウムもそうだし、ゾンビーズもそうだし。嫌になっちゃうし、予算も無くなる。

サカモト:何かここに、聴く人の今の、良くない所の一つに時々、インディーズとかもそうなんだけど、ライブがカッコよかったら良いじゃんみたいな所ちょっとあるじゃん?そう言う価値観。もちろん、ライブはライブで面白さがあってもちろん嫌いじゃないんだけど、やっぱりリスニング・聴く楽しさを考えているアーティストっているし、このアーティストもそんな人たちな気はするので、そう言う所が嫌いじゃないけどねえ。

寒川:まあライブと違って、こうやって世に残っていくからね。

サカモト:そうだね。50年後誰かが聞く(かも)、って言う話だもんね。
 
中村:いいですね。僕らの音楽も50年後どういう形で聞かれるか分からない(笑)
寒川:詞がすごい良いね。
田中:このアルバム一曲目の「Rainbow Chaser」をシングルで出した辺りから名が知られたらしいです。最初はカップリングのつもりだったらしいですけど。
中村:へぇー。それでヒットしたんだから入れ替えてよかったね。
田中:でも、アメリカとイギリスではあんまり人気出なかったみたいです。他のヨーロッパ諸国では人気あったみたいですけど。

サカモト:そもそも今回、パイロットの来日(公演)誰か行く?

田中:ん〜分かんない(笑)。

サカモト:僕行こうかと思ってるんだけど、でもパイロットの良い所ってさ、繊細じゃなさそうじゃん?大味な感じしない?

田中:まあ、どちらかと言うとそうですね。軽やかな感じ。

サカモト:だってさパイロットって名前もこのジャケも、売れる気無いでしょ絶対(笑)?(そんなこともないんですが)

寒川:ジャケかなり良いですけどね(笑)?

田中:本家なのにパロディ感漂ってますね〜。

サカモト:そこをちょっと(ライブで)確かめたい。

中村:そもそも何で来日するの?

田中:さっき出た話の・・「誰に向けているのか・・・?」・・ああ、僕らか〜!!?

 

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いろんな音楽の歴史もあれば知識とかも面白く大事に思えたりもする中、もちろんそれらを大事には考えつつ、興味を持ったらそこからの入り口というのは、ささいなきっかけでいいと思います。興味を持ったからレコードプレーヤーを買った、それだけで音楽の楽しみ方の選択肢が増えるわけですから、とても面白い!

ニッチポップ試聴会は、まるで行ったことのないレストランを紹介しあう女子会のごとく、食べたことない人に、こんなにも美味しい料理だったんだよ、という会になります。

実際美味しいか美味しくないかは、食べてみて判断してもらうとして、想像するだけでも、話を聞くだけでも音楽の楽しみ方の一つを体感できるという意味で、今後も続けていきたいと思います。次回は是非あなたのオススメのレストラン(音楽)を僕らに自慢しに来てください。

WaikikiRecord/ELEKIBASS サカモト

 

 

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【イベントinfo】

ビートルズ不在の70年代の「隙間」を支えたもうひとつのポップ・シーン「ニッチ・ポップ」、その「隙間(ニッチ)」をこの日本、東京で2016年に鳴らすのは一体どんな「隙間(ニッチ)」音楽!?をテーマにお送りする「ニッチ・ポップサンデー」数回のアメリカツアーを通して、USインディ経由のルーツミュージックを奏でるELEKIBASSと、シティポップといっても【市街】じゃなくて【町内】、ってか【村】音楽(シティポップ)を奏でる空中カメラ、このレギュラー2組に、60年代、70年代のアメリカ西海岸から大滝詠一や山下達郎などのシティポップに影響を受けている『The Pen Friend Club』を迎えた全3組で「隙間(ニッチ)」を六本木Varit. にて鳴らします。DJは今回も各バンドのメンバーが、それぞれのルーツを流し、解説までする、喫茶スタイルでお送りいたします。

2016.10.23.sun 六本木Varit.
“WaikikiRecord presents 「ニッチポップサンデーVol,2」”
open/start 17:30/18:00
add/day 2,500/3,000 +1drink

出演:ELEKIBASS/空中カメラ/ThePenFriendClub

DJ:JP&sakamoto(ELEKIBASS)/空中クルー(空中カメラ)/平川雄一(ThePenFriendClub)

チケット
e+ 8/8より発売開始

【メール予約】
予約はinfo@waikikirecord.comまで、お名前/枚数、公演日を明記の上メールにて承ります。
受付終了しましたら、予約完了のメールを返信させていただきます
携帯電話のメールアドレスから予約される場合、ドメイン指定受信を設定されている方は
「@waikikirecord.com」を受信できるように指定してください。
*各バンドに直接お問い合わせいただいてもご予約可能です。
date: 2016-10-06 | Category: 対談 | No Comments »

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